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張り技術の差を際立たせる、正確無比なプロ用マシン

みなさんはテニスラケットに張られるストリングに寿命があることをご存知ですね。
天ぷらの揚げ油は汚れが目に見えるため、交換時期を悟ることができますが、
自動車のオイルやテニスストリングは、使い続けていると、劣化を感じることができにくくなります。
新品に交換してみて初めて、古いものとの差を感じることができるという方が多いです。

クルマのオイル交換も素人には困難ですが、テニスストリングの張り替えでも、新品との交換では、
もっと特殊な技術が必要で、その張り替え技術の優劣には、天と地ほどの差があるものです。

張りの違いを理解しない人はよく「あれって機械が張ってくれるんじゃないの?」などと言いますが、
とんでもない誤解です。
あの機械のことを『ストリンギングマシン』と呼びます。
マシンはあくまで「工具」であり、「ストリンギングロボット」ではありません。
使うのは人間であり、機械はそのための道具にすぎないのです。

ストリンギングマシンもピンキリです。
1台が100万円以上するマシンから、
10万以下マシンもあります。
その差は10倍以上。
いったい何が違うというのでしょう?
同じように張り上がるなら、
安いほうがいいじゃありませんか!

マシンの価格差には、それなりの「理由」「価値の差」があります。
高額なマシンは、あらゆる作業工程に対して配慮ある設計がなされ、
非常に高い精度を発揮し、またその精度を実現するためのたくさんの仕掛けが隠されています。
あらゆるパーツが「高精度の結果」を引き出すために開発され、
作業のしやすさを導く筐体デザインまで、徹底して「ストリンガーのため」に設計されるのです。

もちろん安いマシンでも、プロのストリンガーはそれなりに良い仕上がりにもっていくことはできます。
しかしながらプロが使用するレベルのマシンというのは、
正確な作業を効率よく進めることができるようにフォローしてくれるのです。

では、高級マシンを使いさえすれば、誰でも素晴らしい張りができるのでしょうか?
答は「NO」です。
張りの技術と、マシンの値段は「別物」です。

ストリンギングの良し悪しに関わる大きな要素は「正確さ」。

安価なマシンでは、おおざっぱに張り上げることはできますが、
ストリングを引っ張るテンションの正確さや安定性などへの配慮はさほど細かくなく、
ストリングを留める「クランプ」の爪は滑りがち、フレームを支えるアームの堅牢さもちょっと心許ないです。

ストリンガーは、一日にとても多くの張りを手掛けるもので
「楽に張れるよう」「効率よく張れるよう」配慮されたマシンは、非常に心強い味方となります。
だからストリンギングに高い意識、向上心を持つストリンガーは高性能マシンを持って、
それを最大限に活用して張るのです。

張りの技術は、マシンの性能とは別ですが、その技術の精度を上げるために存在するのが高性能マシンです。
素人がいかなる高性能マシンで張っても、プロのような素晴らしい張りにはなりません。
逆に言えば、高性能マシンほど、プロとアマチュアの差をあからさまにしてしまいます。
高精度マシンの冷酷なまでの正確さが結論付けるのは、『技術の差』なのです。

[筆者:松尾高司(KAI project)]

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