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ストリング太さの「ミリ表記」と「ゲージ表記」の違いって?

ゲージ規格では、数字が大きくなるほど細くなる……っ!?

前回は「ストリングの太さが違うと、何がどう違うのか?」について話しました。
ストリングの素材が同じであれば、細いほど伸縮性に富み、その伸縮性が反発性を生み、スピン性能を高める……その反面、耐久性については我慢しなければならないということも話しました。
かたや太いストリングは伸縮性が控えめで ズレ→戻り の可動性が低くてスピンはかかりにくいですが(細いのに対しての比較です)、切れにくい耐久性の高さは大きな魅力です。

そこで、ストリングの太さの表示ですが、一般的に「ストリングの太さ」という意味で「ゲージ」という言葉が使われますが、ゲージは「ワイヤーの太さを表わす規格の一つ」であり、『ストリングの太さ=ゲージ……ではない』ことを知っておいてください。

つまり「このゲージは1.30mmです」と表現するのは間違いということになります。
ゲージを使うのなら「このゲージは16です」と言うべきでしょう。

テニス専門店ヘ行くと、壁一面にストリングパッケージが展示されていますが、そこには同じパッケージなのに「125」とか「130」と、数字が記されています。これはストリングの太さを表わすのミリ単位の表示法で「1.25mm」とか「1.30mm」という意味です。

ところが「16」とか「16L」、「17」といった表記を見たことがありますよね。
普通に考えれば、数字の大きさに準じて太くなっていると想像しますが、これは「数字が大きいほど細い」という『ゲージ表記』であり、ミリ表記とは完全に別の表記法です。直感的には、とてもわかりにくいです。

「ゲージ」に対して「◯◯◯mm」というのは、間違いなのです。たとえばプリンスのストリングパッケージをよく見ると【17GAUGE 1.25mm】、ゴーセンのパッケージには【17GA/1.24mm】、テクニファイバーでは【17/1.25】と記されています。それぞれ、「GAUGE・GA」という文字と「mm」が、区別・並記され、「ゲージとミリは別扱い」。

ゲージというのは「米国ワイヤゲージ規格」に基づいた表記法で、英語で「American wire gauge(略称:AWG)」といいます。厳密には、AWG No.0000の外径を0.46インチ(11.68mm)、AWG No.36の外径を0.005インチ(0.127mm)を基準と定め、この間を44段階に分けたのがゲージ表記法です。

厳密に従うならば「16ゲージ=1.291mm」ということになりますが、テニスストリングの世界では「16ゲージ=1.30mm」として扱われるのが通例です。
これを中心に「0.05mm」刻みで設定され
15 =1.40mm
15L=1.35mm
16 =1.30mm
16L=1.25mm
17 =1.20mm
17L=1.15mm
というのが目安で、「L」というのは整数ゲージの中間値としています。正しいゲージ表記法ならば「17ゲージ=1.15mm」と0.5mmズレますが、わかりやすさを重視して、こうした目安ができたのだと考えられます。
また最近では「16L」「17L」を省いてズラし、
17=1.25mm
18=1.20mm
と表記するメーカーもあり、
ゴーセンでは同じゲージ数でも、機種によって「ミリ表記」をさらに厳密に記しています。
16=1.29mm
16=1.31mm
17=1.22mm
17=1.23mm
17=1.24mm

このように、ゲージ表記はブランドによって表記のしかたが違ったり、ゲージ表記せずに「ミリ表記」あるいは「整数3けた数字」というブランドのほうが多いです。正しく知っておいてもらいたい「太さの表示法」ですが、「ゲージは◯◯◯mm」という言い方に対して、いちいち突っ込むのはやめておきましょう。……嫌われますよ(笑)

筆者
松尾高司(KAI project)
1960年生まれ。試打したラケット2000本以上、試し履きしたシューズ数百足。
おそらく世界で唯一のテニス道具専門のライター&プランナー。
「厚ラケ」「黄金スペック」の命名者でもある。

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