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ストリングのこと、
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勝つ選手、負ける選手

トーナメントで張っていると、いろいろな選手に遭遇する。当然トーナメントに来る選手たちだから、勝ち負けにこだわる人たちばかり。みんな勝ちたいのは当然だ。

人それぞれ、十人十色とはよく言ったもので好みもさまざま。細かく言ってくるものもいれば、あまり気にしない選手もいる。ストリンギングで言えば、ノット(留め)の位置とか形とか。始めた頃はまだまだ未熟で、ときどき間違えてしまい、替えのストリングがなく、時間もなく、どうしようもないので2本張りを3本張りで張ったことも。3本張なのにノットは4つしかないという曲芸を身につけたこともあった。たまたまその選手は優しくて何も言って来なかったけど、今ではまったくありえないこともやっていた。

またステンシルの位置にこだわる選手もいた。なかでも女子選手はステンシルマークを表と裏を逆にするのが決まりで、初めて私が張ってステンシルを通常に入れたらすぐにコーチが血相を変えてやってきて「ステンシルマーク逆! もう殺されるから気をつけて!」と言われてしまった。まあ、殺されはしないだろうけど、半殺しくらいならあるかもなぁ、なんて思ってしまった。

ほとんどの選手が試合前に張り替える。それは勝ちたいから。以前は予備として用意する選手もいたが、今ではほとんどの選手が勝つために試合用にラケットを用意する。だから試合前にどれくらい勝ちたいか、やる気があるかなんとなく察しがつく。

用意するラケットの本数は選手によってまちまち。2〜3本の選手もいれば、10本くらい用意しないとダメな選手もいる。それは本人のペースだから多くて少なくても問題はない。

……問題なのは「ラケットを張りに出すタイミング」。多くの選手が試合の前日に持ってくる。もちろんギリギリに出すのがルーティーンの選手もいるが、こちらとしてはあまりギリギリに持ってこられるのは厳しい。

選手にとって大切なことは、ラケットを「ただ張り替える」のではなく、ちゃんと準備しているか。張り替えるのは試合に対する心の準備でもある。その差で試合は大方決まる。勝者と敗者の別れ目は「まさにそこ!」である。

筆者
細谷 理(ON COURT (RACQUET) !)
店舗情報
神奈川県茅ケ崎市幸町3-5 アルス茅ヶ崎
0467-88-3410

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