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世界へのランニング

大会会場内の陸上トラックを黙々と走っている少年がいた。
2007年全国小学生テニス選手権大会の準決勝を終えた西岡良仁選手である。
明日の決勝を控え「クールダウン?」と思いきや、なんと1時間近く走っている!
コーチや、保護者からやらされているような様子は窺えない。

大会期間中ではあるが、将来を見据え、日々の鍛錬のひとつのように感じた。
翌日の決勝は雨天のため、近隣のインドアコートに会場変更となったが、西岡選手と沼尻選手の決勝は小学生とは思えない、素晴らしい試合であった。お互いに隙があれば何度もネットを取り合い、前後左右に忍者のように動き回るプレイは、現在の西岡選手のスタイルの原点である。

体格だけを見れば、日本人が世界のトップで戦うには厳しいものがある。
松岡修造選手が引退して以降、世界のトップ100に入る選手が、しばらくいない時代が続いた。しかし、錦織選手をはじめ多くの選手が世界のステージで頑張っている。

日本人の持つ勤勉さや、工夫すること、あきらめない心が、厚い壁を乗り越えていくのであろう。トップ選手として成功するための資質としては、けっして与えられるものだけでなく、自ら考え、行動する力が必要だ。このようなプロセスを目にすると、ストリンガーやコーチとしても学ぶことが大きい。

閉店間際に「明日の試合に間に合うように張り替えてもらえますか?」との注文が入る。多くのストリンガーの皆さんもそうであろうが、頑張っている選手やお客さんのために、「いいよ!」「頑張って!」と寝る間も惜しんでストリングを張るのであろう。
たまに挫けそうになるが、「ファイト!」である。
そんな時は黙々と走り続ける少年の姿を思い出しながら、負けてたまるかと頑張るのである。ストリンガーとしての勤勉さは忘れてはいけない。

トーナメントでサポートするストリンガーは1日で30本以上のストリンギングをするという。選手の勝敗にかかわる重要な仕事であり、ミスは許されない。大変な集中力と忍耐力が必要だ。ステージは違えど、毎日のストリンギングを、このような気持ちも持って、取り組みたいものだ。

筆者
山村 好孝(テニスハウス レッツプレイ)
店舗情報福井県福井市北四ツ居1-28-28
0776-54-8151

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