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張りにおける美しさとは?

今年の2月に行われました西日本合同ワークショップのテーマを担当しました。
「自由に考えて良い。」と言われたのですが、なかなか「これだ!」というアイデアが浮かびませんでした。
かなり悩んで、今回のワークショップは張りにおける美しさ、特に「結び」に着目したいと考えました。

私たちの仕事はラケットに糸を張って使える状態にする、ただそれだけ。
時間にして約20分、1,000円~2,000円ほどの作業に、私たちはなぜこれほどの情熱を注ぐのでしょう。
これまで私たちは、縦横のテンションや張る手順、糸の素材や製法、太さ、ラケットのマシンへのセッティングなどがラケットの仕上がりや、ユーザーのプレーにどのように影響するのか、どのような性能を発揮するのかを探求してきました。
メーカーは次々と魅力的で新しいラケットやストリングを発売して、常に私たちをワクワクさせてくれるので、これらの探求はこれからも継続して行われるべきですし、新しい発見はまだまだある事でしょう。
また、私たちはこの探求の一方で、ラケットに糸を張る行為を早く、正確に、美しく行いたいと思っています。
JRSAには熟練したストリンガーがたくさん所属していますが、彼らが淀みなく丁寧に作業をする様は芸術的でとても美しい。
そして、みんなそれぞれに違う。これはとても重要なことです。
人は皆それぞれ認識や感性も違うので、美しさに絶対の正解といったものはおそらくありません。
しかし、JRSAのワークショップを通じて、それぞれの熟練ストリンガーがこだわっている部分を探ることで新しい気づきがあるかもしれません。
美しさを求めて、しかし、求めるべき美しさとは何か。
情熱とともにこの問いを携えて進むことは私たち自身にとって、そして私たちのお客様に対してグッドな影響を及ぼしてゆくに違いありません。

例えば、店頭で張替え受付の際、お客様からストリングが張られた状態のラケットを手渡されたとします。
ストリンガーはつい、ラケットの状態を調べ、それが「どのように張られているのか」を観察してしまうのが性分です。
・糸の種類は何か…
・どこの摩耗が激しいか…
・結びは2つか、4つか…
・結びの位置は…
・結び方は…
・フレームやグロメットの損傷はないか…
・グリップの状態は…

など様々ですが、多くのストリンガーは「ストリングパターン」そして「結び」に目が行くはずです。
張り上げられたラケットから得られる情報の中で、特に違いが出やすい場所の1つは「結び」だと感じます。
熟練したストリンガーであれば、結びを見ればそのラケットを張ったストリンガーのおよその技量がわかるかもしれません。
結びをする場所や結び方はストリンガーの個性が特に出やすい所です。
なぜ、そのホールへ、その結び方で結ぶのか。
ストリンガーが糸を今まさに結ぶとき、それはラケットとストリングに対して適当に選択されており、明確な理由があるはずです。
幸いJRSAのワークショップにおいては、毎回、熟練ストリンガーの諸先輩方にご参加いただいています。
「結び」について造詣を深めながら、私たちの「結びつき」もより良い形へと進化させていきたいと考えました。

筆者
有家 誠(ミキスポーツ)
店舗情報
和歌山県和歌山市元寺町4-11
073-428-3741

 

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